[情報] 職業としての“声優”と業界の変遷--古川

看板MasamiTsuda作者 (泰莎大佐)時間9年前 (2015/06/20 11:24), 編輯推噓0(000)
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http://japan.cnet.com/entertainment/35064887/ 職業としての“声優”と業界の変遷--古川登志夫さん榎本温子さんらが明かす本音 佐藤和也 (編集部) 2015/05/23 09:00  5月8日、デジタルハリウッド大学大学院駿河台キャンパスにて「エンタテインメント の未来を考える会 黒川塾(二十五)」と題したトークセッションが行われた。コラム ニストの黒川文雄氏が主宰、エンターテインメントの原点を見つめなおし、ポジティブ に未来を考える会となっている。  この会では、主にゲーム業界やデジタルコンテンツに関連したテーマを中心にするこ とが多かったが、今回は趣向を変え「声優は一日にしてならず…声優事情変遷史」と題 し、昨今注目されている“声優”の業界や変遷について、現場に立つ声優ならびにマネ ジメントを行うプロダクションの両方の立場から語られた。登壇者は声優として活躍し ている古川登志夫さんと榎本温子さん、さらに古川さんが所属している青二プロダクシ ョンから執行役員・営業制作部部長の池田克明氏、榎本さんが所属している81プロデュ ースから執行役員・営業部統括部長の百田英生氏の4人。 2人の声優が語る、職業として確立されていなかった時代と今  冒頭では、黒川氏の「昔と今の声優の仕事に違いがありますか」という問いかけから 、古川さんと榎本さんの経歴をもとに振り返った。長年にわたって第一線で活躍してい る古川さんは、もともとNHKの大河ドラマ「新・平家物語」に出演するなど俳優として 活動していた。声の仕事を始めたころはは声優という呼称がまだ一般的なものではなく 、俳優の延長線上にあるものとしており「先輩の中には、声優と呼ばれることを嫌う方 もいました」という。ちなみに古川さんの名前は芸名であり(本名は古川利夫)、新・ 平家物語でのクレジットミスからとったものと明かした。  古川さんが劇団に所属していた25歳のころに、その座長に誘われて「FBIアメリカ連 邦警察」という海外ドラマの吹き替えの見学に行き、そのまま出演したのが声の仕事を 始めるきっかけだったと振り返る。当時野沢那智さんや山田康雄さんといった役者が声 の仕事をしていたころで「外画(海外映画やドラマ)から抜け出したような、おしゃれ ないでたちをしてました」と振り返りつつ、古川さんも小さな役からはじめ、徐々に役 をもらえるようになっていたという。  以降顔出しの俳優と声を使う声優を平行して活躍していたが、のちにアニメの役を担 当してから声優としての仕事が多数舞い込むようになり、声優の仕事が中心になってい ったという。現在は憧れの職業としても挙げられる声優ではあるが、「どうして声優に なったのですか、という質問には『いつの間にか』としかいいようがないのです」と、 今の時代背景とは違っていたことを伺わせた。  古川さんは「30歳ぐらいまではお金がもらえないような厳しい世界」という当時の俳 優業。なおかつ屋外ロケでは天候によって仕事が左右される側面もあった一方、声優の 仕事はスタジオ収録という“全天候型”で掛け持ちもできたとし、収入の面からも魅力 的だったと率直な心境も語った。仕事を続けていくなかで「声優の仕事がいい」と思う ようになり、35歳ぐらいから声優1本で活動。「今は天職だったんだと思っています」 という。  榎本さんは17歳のときにオーディションを経て事務所に所属したことから声優の道へ 。榎本さんが目指したころは、すでに声優の養成所もできている状態で、声優のインタ ビューなどを掲載した専門雑誌やアニメ系のラジオ番組が増えていた時期であり「ラジ オ番組を掛け持ちで聴いてて忙しかった」というぐらいに、興味を強く持っていたとい う。声優が活動の幅を広げているのを見て育った世代であり、自身もアニメが好きだっ たこともあって、明確に声優を目指していたと語った。  デビュー作がアニメ「彼氏彼女の事情」の宮沢雪野役で、いきなりの主役。「今だと シンデレラストーリーだと思えますが、当時は若さでキャスティングされたと思ってい ましたし、いっぱいいっぱいでした」と振り返る。その後、仕事を続けていくうちに業 界の内側から好きになっていき、「できることはなんでもやっていこう」という考えの もと、さまざまな活動を行い今に続いているという。 「街を歩いていて聞こえてくる声は全部仕事で営業対象」という声優の世界  ビジネスサイドから見た声優業界とはどんなものだろうか。池田氏はプロレス業界の 営業などから転身。きっかけとなったのは、そのプロレス団体でリングアナウンサーを 務めていたのが、青ニプロダクションに所属している声優の小野坂昌也さんだったこと 。それが縁となって声優業界で仕事をするようになったと経緯を語る。  池田氏は、ラジオ番組や歌といった活動だけではなく、前述のリングアナウンサーや 列車の車内アナウンスといったところも含めて、声の仕事というのは想像以上に広いも のだと感じ「街を歩いていて聞こえてくる声は全部仕事で営業対象」という発想になっ たという。  また芸能界で多く見られるタレントごとに担当を付けて売り込むという形ではなく、 アニメ、報道、CM、番組などに担当分けして、需要のあるところに向かい、ベストなキ ャスティングを提案して売り込むことが、声優業界におけるマネージャーの特徴だと語 った。  百田氏も事務所のスタンスとして基本的なところは変わらないという。さらに、アニ メや海外映画などはギャランティがランク制度によって共通化されていることによって 、プロダクションを移籍したとしてもある程度は変わらない形で仕事ができることも背 景にある。現在では声優事業社によって日本声優事業社協議会が設立され、環境の健全 化や業界の盛り上げを図っているのだという。 時代が求めていることに対して自分も変化しないといけない  もっとも環境整備や権利保護に事務所や業界が力を入れているとしても、やはり声優 として仕事をし続けるには、個々の取り組みや力量が問われる世界。古川さんは声優に 限らずあらゆる業界において、時代が求めていることに対して自分も変化しないといけ ないとし、どんな仕事でもオールマイティに対応できるように心がけているという。  ひとつの例として、録音技術の進化によって演じ方や演技論も変容していると語った 。昔はマイクが声を拾いやすいように声を大きく出すことを求められたが、近年は小さ な声でも拾えるという。古川さんがアニメ「たまゆら」に出演した際、女子高校生の繊 細な乙女心を表現するために、ささやくように言ったセリフにOKが出て驚いたことに触 れ、時代にあわせた表現方法に対応できるようにならないといけないと感じたという。  榎本さんもすでにキャリアとして18年目を迎えたなかで「2、3回ぐらい業界の仕事の 仕方が変わった」と語る。そのひとつとしてニコニコ生放送のようなネット配信の動画 番組を挙げた。いわゆる放送番組とユーザー放送の間の立ち位置に見えていたことで内 心は抵抗感があったというが、企業側が公式チャンネルを持って配信するようになって からは、仕事として受け入れる方向に傾いていったという。「業界全体が変わっていく なかで、自分の仕事のスタイルも変えなくてはついていけないと思いました」といい、 その一方ではあくまでプロであるといこと、ユーザー放送ではできない魅力を伝えてい くスタンスで臨むとも語っていた。 ネットで話題になった「声優ってスキルは必要?」について  クリエイティブな現場でプロとアマチュアの境目が薄くなっている昨今。黒川氏が、 ある著名人がTwitterでつぶやきが発端としてネットで話題となった、声優のスキルに ついて言及した件に触れ、榎本さんは声優を“匠(たくみ)の仕事”だと主張。それは 単に口パクにあわせるといったことではなく、ブースの中で熱演すること、場合によっ ては絵のない状態でも気持ちの入った演技をすることは本当に難しいこととしたうえで 、そういう状況であっても存在感がある声が出せているのを目の当たりにしたいるから こそ、そう思っているという。ちなみに榎本さん自身の発言が恣意的にとりあげられて 一部でニュースにもなったことにも触れ、まとめたり記事として掲載するのならきちん と記名して責任を持ってほしいと苦言を呈していた。その一方で「できれば告知も載せ て宣伝してほしい(笑)」と笑いを誘う一言も付け加えていた。  このように話題になったことについて、池田氏と百田氏も職業としての声優が認知さ れてきていることの裏返しと、前向きにとらえているという。またプロモーションの側 面から、タレントがアニメや洋画などの吹き替えを担当することも珍しくはないが、声 優にあててほしいという意見が出てくるところを見ると、演じる側も視聴者側も声優を 見る目を持ち始めて、意識レベルが高まっているのを感じているという。  こと池田氏は声の合う合わないと感じることについて、タレントの起用というだけで はなく、突き詰めた議論となると声優でもあることとし、プロモーションという意味合 いでは、映像作品やアニメを取り巻くビジネスモデルの変化から、人気や話題性のある 声優が起用され続けるといった現状も否定できないところがあるという。百田氏もスキ ルがあっても日が当たるとは限らない世界としたものの、新人を起用して積極的なイベ ント展開でプロモーションをする作品もあるなど、チャンスはあると付け加えた。 掛け合いのある収録は日本独特のもので「誇るべきもの」  声だけで演じること、またその世界で仕事をし続けることの難しさが語られてきたが 、黒川氏から、声優の立場としてキャラクターに命を吹き込むことはどういうことなの かとの質問が投げかけられた。古川さんはやはり古川さんは役を獲得するためには特質 を出す必要があると前置きした上で“プラスアルファの演技”を盛り込むように心がけ ているという。想像される演技プラン通りに演じてしまっては誰でもできるという判断 になってしまうため、自身なりの演技をたとえ1カ所でもいいので入れ込むという。  古川さんはたとえとして、悪役の善の部分、やさしい男性の強い部分といった対極に あるところを探って表現することで、役の幅が広がると説明する。自身の代表作でもあ る「ドラゴンボール」のピッコロや「北斗の拳」のシンなど、憎々しいなかでもふと見 せる優しさやいちずな一面を見せることによって、ファンの支持を得られたとも語った 。  榎本さんは「キャラクターとして生きる」と「自分の経験を惜しみなく投与する」こ との2つを挙げた。またアニメは監督のものと考えており、監督が考えていることの表 現に近づけることをスタンスとしていると語る。それはたとえ自身が考えた演出プラン とは違う演技であっても、監督がよかったと言ってくれるものであればうれしいという 。加えて、ナレーションやゲームの収録は1人で行うことが多いが、アニメなどの収録 は集まった人たちと一緒の空間で芝居することが醍醐味。さまざまな演技を見ることで 新たな発見もあることから、「こんなに近くで演技 が見られることはラッキーなこと 」とし、その現場や体験を大事にしたいと語った。  百田氏は、声優の声はサンプリングではなく掛け合いによるお芝居によって化学反応 が起きる世界であり、高いレベルで仕事をしているとも加えた。古川さんも海外では個 別収録が主流で、セッションのように複数人で掛け合いながら収録するというのは日本 特有なものだと説明。そのことが日本のアニメが海外でも評価を受けている背景にある と推察し、この手法は日本が誇るべきものだと主張した。池田氏も、複数本のマイクを 立て、十数人が入れ代わり立ち代わり収録する現場を初めて見たときは驚いたと振り返 る。また、業界の活性化に向け、日本独特の収録方法を含めたアニメ文化を、来日した 外国人に伝えていく場の必要性を語った。 “声優アーティスト”と、歌やイベントの出演がNGだと仕事が減ってしまうという実情  質疑応答のなかでは、声優によるアーティスト活動の話題も取り上げられた。古川さ んはかつて声優で組んだバンド「スラップスティック」として、榎本さんもレーベル契 約をして個人名義でのCDをリリースしている。2人はそろって本来はスタジオワークと しての声の仕事が好きで、声優としての表現を突き詰めたいが、依頼される仕事に取り 組むうちに気づいたらアーティスト活動をしていたと答えた。  榎本さんは、宣伝があって派手に見えることや現在はマーケットとして確立されてい ることから声優アーティストを目指す人もいて、さらに歌やイベントの出演がNGとして いると仕事が減ってしまうという実情も明かした。「声優の方にはいただいた仕事をあ まり断らない方も多く、なんでもやるというスタンスの結果、こういう状況になってい るのかなと思います」とした。歌でもキャラクターソングに関しては声優だからこそで きる表現が存在する場所であり、そこは得意分野として生かしていきたいということ、 また露出されている部分が華やかに見えているものの、スケジュール管理や時間厳守と いった仕事意識の高さ、普段の収録では雑音が出ないような服装で臨むといったことな ど、どちらかといえば地味な仕事が主であることも付け加えた。  最後に、百田氏は昨今の興味や関心の高さから才能のある人が声優を志望する状況も あり、乗り越えるべきハードルは高いとしながらも「声優業界は夢のある世界で勇気を 持って飛び込んできてほしい」、池田氏はさまざまな可能性とやりがいのある仕事であ るとし「関わった人たちが、またこの人と仕事がしたいと思ってもらえるような何かを 残せる声優を目指してほしい」とビジネスサイドからのメッセージを寄せた。  榎本さんは、声優を目指す方には率直に「やめとけ」と言ってしまうぐらいに大変な ものであるなか、それでも続けられているのはそのつらさを上回る、すてきで魅力のあ る部分もあるからと語った。古川さんは、現在が活況となっている声優業界は過熱気味 と思えるぐらいの新人発掘熱があり、たくさんの声優養成所も存在している状況は過当 競争にさらされているともいえるが、間口が広がっているともいえ、それは古川さんの 時代からすると恵まれているので、頑張ってほしいとエールを送っていた。 --  ̄██ ̄ ██ ◢█ ̄╲ ◢█ ̄╲ ◢█ ̄╲ ╱ ̄█◣ ██ ██ˍ╱ ██ˍ╱ ██ˍ╱ ╱ ̄██ ██ ◥█ˍ╱ ╲ˍ█◤ ╲ˍ█◤ ╲ˍ██ -- ※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc), 來自: 203.73.11.49 ※ 文章網址: https://www.ptt.cc/bbs/MasamiTsuda/M.1434770695.A.996.html
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