Kimagure EVA★Road 第4話 大 …
きまぐれエヴァ★ロード
第4話 大人の存在
その後もまだ僕らはあばかぶの中にいた
まだ歸るには少し早かったし、それに色々と話したかったからだ。
「はい、どうぞ、少し熱いから氣をつけて飲んでくれよ」
さっきのお詫びに加持さんがコーヒーを出してくれた
「どうもすいません」
とお禮を言っておく
「いいって、さっきはこっちが惡のりをしすぎたんだし
それよりどうだいこの店のコーヒーは?」
そう言われた僕は砂糖とミルクを少しずつ入れて早速飲んでみる。
「美味しい!」
お世辭ではなくて本當に美味しかった、こんなコーヒーが飲めるなんて‧‧‧
「それはよかった、不味いって言われるんじゃないかって心配してたんだよ」
加持さんはまた笑った
その笑顏には何か人を安心させるような暖かみがあって
さっき苦手かもと考えたばかりなのに、僕は急にこの人に惹かれていく自分を感
じていた。
「そうだ、なんで綾波さんはこの店でバイトしているの?」
「え、それは‧‧‧」
綾波は皿洗いをしている手を止めた
「あーそれは見ての通りこの店には店員が俺以外にいないからだよ、だから常連
のレイちゃんに賴んで仼いてもらってるってわけ」
加持さんが何か言いにくそうにしている綾波を遮るようにして答える。
「そうなんですか」
何となく腑に落ちない感じがしたものの僕はこれ以上この話題にはふれない方が
いいと思ったわけであり
「でも本當にいいお店ですよね」
話題を變えるために僕は話を無難な方向へ持っていった。
「そうかい、俺の趣味でこんな感じにしてあるんだけど氣に入って えるとは
ね」
店內は自然を意識したデザインになっていて、机はすべて合板とかじゃない木製
のものだし
觀用樹がおいてあったりしてとても落ち著ける雰圍氣である。
「ええ、とても氣に入りましたまた來たいです」
「なら今日のところは色々サービスしようかな」
と言って加持さんは僕のカップにコーヒーのおかわりをついでくれた。
「あ、どうもすいません」
「いいって別に、そのかわりさっきの言葉忘れないでくれよ」
「はい分かりました」
そして延々と、とりとめのない話が續いた。
話題の中心は僕のことで、なんでこの街に引っ越してきたかとか、前の學校での
ことそんなことをずっと聞かれ續けた。
そしてそろそろ自分のことについて話すことが無くなってきたとき
「そういえばなんで加持さんはこのお店を開いたんですか?」
とふと思った疑問を口にしてみた。
「そんなことが知りたいのかい、シンジ君、ちょっと長い話になるかもしれない
けどいいかい?」
「はい、もちろんですよ」
「君たちが通っている第三新東京學園は俺の母校でもあるんだ、中‧高‧大とず
っとあそこに通っていた。‧‧‧‧‧‧ま君たちの先輩って事になるのかな」
そこまで言うと加持さんは視線を少し床の方へ落とした。
「そのころ俺には一人の戀人がいた‧‧‧、ま大昔のことだけどね
彼女の名前は葛城って言った」
ふと見るとそれまで笑っていた加持さんの表情が、どこか懷かしさをかみしめる
ようなのに變わっていた。
「彼女と知り合ったのは大學に入って間もない頃だった
ずっと下から同じ學校に通っていた俺にとって大學からこの學校に來た彼女は
とても新鮮な存在に見えたんだな
それまで誰かを必要だなんて思ったことはなかったけどそのころは彼女のこと
を思う度に胸が痛くなった
そんな氣持ちが相手に通じたのかな、俺たちはすぐにつきあうようになった
そしてそのうちに俺は相手のことを守っているという錯覺を持つようになって
いったんだ」
「實際彼女は俺にくっついてばかりいたし、こっちとしたら何か保護者的感情を
持っていたんだ
だけどそれが彼女を傷つけた‧‧‧
彼女には父親がいなかったんだ
有名な科學者だった彼女の父親は家庭を見ようともしない男だったらしい
ところがある日彼女が用事があって父親と一緒に步いていたら
向こうから車がつっこんできたそうだ
そして彼女はそれまで全く愛情を抱いていなかった存在の父親に体を張って守
られた
命と引き替えにね‧‧‧
それ以來彼女は父親的存在にすがる自分を嫌いになったらしい
俺の中にそういったものを見つけて逃げ出したんだろうな、この街と俺から
‧‧‧
俺はずっと彼女のことを待っていようと思った
だからこの街にこんな店を開いたんだ、いつでも彼女が俺の許へ歸ってこれる
ように‧‧‧
これが俺がこの店を何故開いたかの理由さ、ちょっと暗かったかな」
「でも今じゃすっかりこの店のことを氣に入っているんだ
こうしてお客さんが來てくれてこの店のことを氣に入ってくれる
そのことでなにか力が出てくるような氣がするからね‧‧‧」
そこまで言い終わった加持さんの表情はすっかりもとに戾っていた
「そうだったんですか‧‧‧」
僕はこんな事情があるとは知らないで、氣輕に聞いてしまった自分にいらだちを
感じていた。
「何か無理に話させちゃってごめんなさい」
「いや、いいんだよ
こうして話せるって事自体俺がもうそのことについてかなり吹っ切れてるって
言う証據なんだから
そのことを確認できただけでもよかったよ」
加持さんはそう言ってくれた、きっとこういうところが彼の優しさなのだろう
か。
そんなときふとアスカが立ち上がった
「アタシ、そろそろ歸るから‧‧‧」
僕もその言葉であわてて時計を見てみるとすでに6時を過ぎていた。
「もう いし僕も一緒に歸るよ、アスカ」
といってあわてて僕はお勘定を濟ませる。
「それじゃまた來ます、今日はごちそうさまでした」
と言い殘して僕らは店を出た。
「どうしたのアスカ?急に歸るだなんて」
歸り道、僕は彼女を家まで送っていくことにした。
「別にどうもしないわよ!」
あばかぶを出てから彼女はずっと機嫌が良くないのであり
「ならいいんだけど‧‧‧」
そこから僕と彼女はお互い一言も發しないまま步いていった。
それから少したって
「‧‧‧好きだったの、加持さんのことが」
突然アスカの足が止まった。
「え?」
「今日のチケット、本當は加持さんと行こうと思っていた
でも、仕事があるからって言われたの
それからさっきと同じ事を話してくれた、店を休まずに開け續けている理由
を‧‧‧」
それだけ言ったアスカの顏はとても悲しげで僕と同い年にはとても思えなかっ
た。
「じゃあアスカ、なんで今日加持さんの店に行ったの?」
「それは‧‧‧ちゃんと自分の中で氣持ちにケリをつけたかったの
會ってアタシに勝ち目のないことを知ってね
でもやっぱりつらい!!」
「なんで、なんでアタシじゃいけないの
そんなにその人のことを思っていられるの」
自分から去っていった人のことを!」
そう叫ぶと彼女は急に肩を落として
「どうして‧‧‧どうしてなのよ‧‧‧」
そして体を細かく震わせ、嗚咽を始めた。
僕は正直とまどっていた。
人にこんなに激しい感情を見せられるのは初めてだった。
でもこの場合において彼女に何もしないのはとても傷つけることになると言うの
は分かったわけで
「アスカ、僕はそんなことを言われても何も分からないよ
でも‧‧‧‧‧‧‧」
僕は彼女のことをそっと包み丢むように抱きしめる
「今の君を放っておくことなんて出來ない」
そのまましばらく僕は彼女のことを抱きしめていた
そっと、優しく彼女をいたわるように。
‧‧‧‧‧‧‧‧‧‧‧
「もう、いいわ、ありがとう」
そう言って僕から離れた彼女の目にもう淚はなく
彼女のために何か出來た僕はうれしさを感じていた。
「よかった、少しは元氣が出た?」
「うん、今日は本當にありがとうシンジ」
「いやいいよ、僕だって樂しかったし」
「そう、よかった」
そのあとはまた二人とも默って步いていた。
何となく僕も彼女の顏を見て話すのが照れくさかったわけで。
それはアスカも同じだったらしく。
「ねえ、アスカ」
「シンジ」
話しかけようとしてお互いを呼ぶ聲がユニゾンしたときは思わず赤面してしまっ
た。
それで結局それ以降は何も話せないまま目的地である彼女の家の前についた。
「うちはここだから」
そう言った彼女はすでに笑顏まで浮かべていた。
「そ、そうなんだ‧‧‧」
「それじゃこれが今日のお禮」
と言って彼女は惡戲っぽく微笑んだかと思うと
いきなり僕に抱きついてきて
「うわっ!」
僕のほっぺたにキスをした。
「へへーアスカ樣からのご褒美だぞ、ありがたく受け取るように」
「う、うん」
む、胸の鼓動が聞こえるんじゃないかってくらいドキドキしてる。
「それじゃ、また明日學校でねシンジ」
「そ、それじゃ」
さよならの後アスカが家の中に入っても、僕はさっきの衝擊でまだぼーっとした
ままだった。
元氣を取り戾す早さにも驚いたけど
アスカって大膽な女の子なんだな‧‧‧
そして僕はその感觸を忘れられないで
もう一度自分でほっぺたを觸ってみたわけで‧‧‧‧
To be continued.
次回予告
翌日からまた學校が始まる、しかし學校であった綾波はなぜか冷たいのだった。
第5話 搖れる氣持ち
次回はサービスできるかもね
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