Kimagure EVA★Road 第9話 チ …
きまぐれエヴァ★ロード
第9話 チョコレート‧マジック
「でーきたっと」
”アスカ、明日も學校なんだから早く寑なさい”
「はーい、わかりました」
ここは劔流家の台所。
どうやら彼女はで何かを作っていたようだ。
「ふっふっふ、これで明日はバッチリね!」
滿足げな笑みを浮かべて、ラッピングに取りかかる。
アスカの好きな赤い色の紙できれいに包み丢んだ後、
仕上げにやっぱり赤のリボンを結びつけて包裝が完成した。
「明日を樂しみに待ってなさいよね、シンジ」
「シンジ、明日はバレンタインデーだな」
「うん、そうだけど」
夕食を食べながらいつものように父さんが僕にちょっかいを出してきた。
「いったいお前は何個もらうあてがあるんだ?」
「な、何言ってるんだよ」
「ふっ、男として1個も えないのは恥だからな‧‧‧」
「うるさいなぁ‧‧‧」
まったく、いい年して何を言ってんだか‧‧‧
「そんなことを言ってるけど、父さんはは學生の頃チョコを えたの?」
「ミサト、リツコ、シンジはチョコを えそうなのか?」
全く僕の言葉を無視する父さん。
「うん、 えそうだよ」
「やるな‧‧‧」
そうしてニヤリと笑うのがたまらなく思えたわけで‧‧‧
そう明日は2月14日。
男にとっての運命の分かれ道の日だ。
この日にチョコをもらえなかったりしたらやっぱりちょっと悲しい。
だから今日の欠席者は壓倒的に男子が多いんだ、
別に風邪がはやっているわけでもないのに‧‧‧
ちなみに僕はといえば、去年は義理チョコしかもらえなかった‧‧‧
だから父さんにもああいう風にからかわれるんだろうな‧‧‧
でも今年こそはとかなり期待している。
この學校に來てから何人か女の子の友達もできたし‧‧‧
義理チョコでもいいから去年より數を多くもらいたい。
そんな切實な思いを抱えながら、僕は眠りについた。
「おはよう、綾波」
「おはよう、碇君」
何の偶然かは分からないけど、學校へ向かう途中で綾波と會ったわけで。
「き、今日は寒いね‧‧‧」
「そうかしら?」
「‧‧ほんのチョコっとだけなんて‧‧ははは」
「變な碇君‧‧‧急がないと學校 刻するわよ」
「そうだね、チョコっと急ごうか」
「‧‧‧熱でもあるの?」
(チョコくれるのなんて聞けないよーー!!)
これでも自分では結構勇氣を出したつもりだったんだけど、
綾波には全く分かって えなかったみたい‧‧‧
教室に來て僕が席に著くと‧‧‧
机の中に一個チョコが入っていた。
(ほ、ほんとに‧‧‧‧‧)
それも大きなハートの形をしたチョコだったりする。
(こんなに大きいってことは‧‧‧やっぱり本命だよね)
チョコと一緒についていたメッセージカードには
「あなたをいつも見ている‧‧‧」
うんうん
「渚カヲルより‧‧‧‧」
と書かれていた。
やばい‧‧‧これは‧‧‧
「受け取ってくれたんだね、シンジ君」
顏を少しひきつらせながら振り返った僕の前に居たのは‧‧‧
「カ、カヲル君?」
ひょっとして、これってすごくヤバいんじゃ?
「ぼ、僕たち男同士だよ‧‧‧なのに‧‧‧」
「そんな事は關係ないよ、これが僕の偽らざる氣持ちさ、
受け取ってくれるよねシンジ君」
いつもながらのさわやかな笑顏。
でもその目には熱い思いが丢められているようだった。
(シンジ君を僕のものにするんだ‧‧‧)
しかしよく考えたら、僕にとっては迷惑以外の何者でもないわけで。
「ご、ごめんねカヲル君、やっぱり受けとれないよ」
教室にカヲル君を殘したまま、僕は外へ飛び出した。
この場合そうするより他に方法が思い浮かばなかったわけで。
「シンジ君、いつかきっと君を振り返らせて見せるよ」
背中にかけられたカヲル君の言葉が妙に氣にはなったけど、
とりあえず脫出に成功して、僕は廊下で一息ついていた。
「ふぅ‧‧‧‧危ないところだった」
「シーンジーー!」
教室から出たところで僕はまた聲をかけられた。
今度は男じゃありませんように‧‧‧
そう願ったのがかなったのかどうかは知らないけど、
とにかく僕の前にいたのはアスカだった。
「ど、どうしたの、アスカ」
「アンタどうせチョコなんて一つももらってないんでしょ、はいこれ」
アスカは後ろ手に持っていたハート型の包み紙を僕に手渡した。
「あ、ありがとう、アスカ‧‧‧」
「言っておくけど、義理チョコよ、ぎ‧り‧ち‧ょ‧こ」
(よっしゃー、チョコだー)
包み紙をあけてみた僕の目の前に現れたのは
義理
とホワイトチョコで書かれた、大きなハート型のチョコだったんだ。
それを見た僕は、正直判斷に迷ってしまって‧‧‧
(ハート形‧‧‧す、すごいものをもらってしまった
でもこの文字は‧‧‧完全無欠の義理チョコと言うことを証明してよね‧‧‧)
「う、うん、わかってるよ‧‧‧」
「わかってるですって‧‧‧」
アスカの表情が少しこわばった、よく見ると血管がぴくぴくしてたりして‧‧‧
何か怒らせるようなことでも言ったのかな?
「どうしたの、顏が怒ってるよ?」
「(シンジったら、本當に鈍感なんだから‧‧‧)
ま、いいわ、とりあえず用はそれだけだから」
「うん、ありがとう、アスカ」
「じゃあね、シンジ」
周圍でらぶらぶの嵐が吹き荒れていても、
僕の周りにはいっこうにそれが近寄ってくる氣配はなかった。
(アスカはあんなはっきりと”義理”って言ったよな‧‧)
「いらっしゃい‧‧‧なんだ碇君」
「や、やあ、綾波」
結局彼女の元に來てしまった。
今朝は全くチョコをくれるそぶりすらなかったって言うのに‧‧‧
「今日はどうしたの?」
「いや‧‧あの‧‧‧その‧‧‧
な、何か時間があった者でさ‧‧‧はっははは‧‧‧」
「そうなんだ‧‧‧ねえもし良かったらお店手傳ってくれない?
マスターが出かけちゃって今人手が足りないの、ね、お願い」
「うん、いいけど‧‧‧」
「よかった、それじゃよろしくね、碇くん」
店の仕事を手傳いながらも僕の頭の中では
(綾波はチョコをくれるのかな?)
その考えだけがぐるぐると回っていた。
(もし、 えなかったら‧‧‧)
そうしたらただ手傳いだけして、おしまいって事か‧‧‧
そんなの悲しすぎる‧‧‧
と、思春期にありがちな煩惱全開の考えにふけっているうちに
いつの間にか時間がたって‧‧
「お疲れさま」
「綾波こそ‧‧お疲れさん」
いつの間にか時計はあばかぶの閉店時間を指していた
「はいこれ、頑張ってくれたから、そのお禮」
店の看板をしまって一息つくとき、綾波は溫かい飲み物を持ってきてくれた。
「ありがとう‧‧‧」
湯氣の立つその飲み物はカカオの香りがして。
「ココアか‧‧‧寒いときはいいよね」
「この店にはココアってメニューはないわ」
僕はその言葉であばかぶのメニュー表を見てみる。
あっ‧‧‧‧‧
あばかぶのメニューにはココアの文字はなくて、その代わりには‧‧‧
「そうか、ホットチョコレート‧‧‧」
「なんとなく渡すのが、恥ずかしくて‧‧‧
別に忘れていたわけじゃないのよ‧‧‧ただ‧‧‧なんとなく‧‧」
「おいしい‧‧‧ありがとう、綾波」
「喜んでもらえて良かった‧‧‧」
‧‧‧‧‧‧‧‧
バレンタインデー。
この日を待っていた女の子はアスカだけじゃない。
勿論この子も忘れるわけにはいかないわけで‧‧‧
放課後の教室、週番のトウジとヒカリだけが教室に殘っていた。
ゴミも出し終わり、日誌もつけて、
仕事がすべて終わって、あとは歸るだけというとき‧‧‧
「はい、鈴原これ‧‧‧」
顏を赤くしながらヒカリがトウジにチョコを手渡した。
「なんやこれ?‧‧‧そうかチョコか、義理とは言え惡いなイインチョー」
「い、いいから、取っておきなさいよ」
そのままダッシュで走り去るヒカリ。
(あーもう、鈍いんだから‧‧‧)
「なんや‧‧‧さっさと行ってしもうた?」
その後家に歸ってからそのチョコを巡ってトウジと妹の間で
「だからこれは‧‧‧‧」
「でも、そんなに大きなチョコくれるなんて、
絕對にその人お兄ちゃんのこと好きなんだよ‧‧‧」
「そんなわけあるかい!」
「あーっ、赤くなってる」
「うるさいわっ!」
(イインチョーがワシのことを‧‧‧そんなことあるわけないやろ)
そんな言い爭いもあったりした。
「でも、ホンマうれしかったわ」
自分の部屋に入ってから、トウジはもらったチョコを少し摘んでみる。
「うんうまい‧‧‧」
顏を少しゆるませながら、彼はこうつぶやいた
「あー、あんな子がワシの彼女やったらな‧‧‧」
一方その頃ヒカリの方では
「ねえねえ、アスカ、鈴原にチョコ渡せたんだ‧‧‧」
「よかったじゃないヒカリ」
親友同士のこの二人が今日の結果を報告してたりする。
「そうだ、アスカは碇君にチョコ渡せたの?」
「うん、でもさ私の氣持ちになんて全然氣づいてくれないんだよね
まったく鈍感なんだからさ」
「でも、チョコ渡したんでしょ、大丈夫よきっと碇君も‧‧‧」
‧‧‧‧‧‧‧‧‧
さらに綾波家ではレイがペットの溫泉ペンギンに話しかけていた。
「碇君‧‧‧私の氣持ちに氣づいてくれたかな‧‧‧
どう思うペンペン?」
「クェェ、クェェェクェッ(譯 そんなのペンギンには分からない)」
「そっか‧‧‧でもいつかきっと氣がついてくれるよね」
日本中の女の子がチョコレートに戀の魔法をかける日。
シンジの心には誰の魔法が屆いたのか‧‧‧?
To be continued.
次回予告
喫茶店あばかぶのマスター加持リョウジ、30歲獨身。
獨り身を持て余す彼の前に大學時代の彼女が現れた。
複雜な思いを胸に抱えながら、そのとき彼のとった決斷は‧‧‧
第10話 再會
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