[涅他] 285話 最後の夜 (文字)
285話 最後の夜
「母さん… なんで…」
呆然と母を見る良守を横目に、大きな荷物を置く母
「お父さんたちはいるの?」
「いるけど… いや! だから何だよ!? なんでいきなり帰ってくんだよ!?
前に烏森に龍落としてったの母さんだろ!?あの時は顔も見ずに消えたじゃねーか!
一体なんだよ!? 何年 家 あけてんだよ!?
もう 烏森狙われたり 裏会が全面戦争だったり 人がいなくなったり
大変なんだよ!! なんだってこんな時に…」
一気に叫ぶ良守を含みのある笑顔で見つめる母 はっとする良守
「こんな時… だから?」
ほほえんだまま良守の頬に手をやる母
「辺りがさわがしいと 大胆に動ける──
あんた 無想できるようになったんだろ?」
「なんで知って…」
良守の顔を間近で覗き込みながら言う母
「今 ここでやってみてごらん」
奥座敷で母を前に怒声をあげる爺
「この放蕩娘が!!この数年 いったいどこほっつきあるいとった!
お前 とにかくまずは修史さんにあやまれー!!」
母「先ほどあやまりました」
爺「それからもちろんこどもたちにも…」
言葉の途中で「お母さん お母さん!!」と駆け込んでくるのは利守
自分の作った工作や作文やテストを箱一杯に抱えて母に見せようとしている
利「これね この間書いた作文と工作とテストと…」
母「あら たくさんあるわね」
利「ホラ この作文 先生にすごくホメられたんだよ!」
母「フフ ああ 利守はお父さんに似たのねえ」
父「守美子ー ちょっと台所手伝ってくれるー?」
母「はーい」
利「えー いーよお母さん行かなくてー だってお父さんいつも一人で…」
母「じゃあ利守も一緒に手伝いなさい」「うん手伝う!」
母と三男のやり取りをじっと見詰める爺
食卓
一家五人が食卓に向かっている(正守はいない)
母は食事をとろうとしていない
父「あ お義父さん おかわりいかがです?」
爺「そんなもんは守美子にやらせなさい」
利「でね この前遠足で 無色沼行ったんだよ」
良守は無言
爺「それで お前一体 何しに帰ってきた」
母「ああ 良守には言ったんだけど…
お殿様を 迎えにね」
にこりと微笑む母 目をむく爺
父「え お殿様って?」
母「もちろん 烏森のよぉ」
爺「待て お殿様の 霊魂を他へ移すとでもいうのか!?
お前自分が何を言っているのか…」
母「ああ 違うわよ お殿様は生きた人間 400年くらい前から
あの土地の異界に封じ込められているの
この結界師という家業は 霊的エネルギーが高くて 妖を寄せてしまう
烏森家に 開祖 間時守様が仕えたことに始まり
烏森家が滅んだ今も その霊魂を祀った『寄せてしまう土地』に
仕えつづけている…
あの言い伝えの 大方はデタラメ
烏森家がわりと霊感のある一族だったのは本当だけど
せいぜい見えてしまうくらいで 大したレベルではなかったの
たった 一人を除いてね
時守様は 全精力をかけて その一人をそもそも人など住んでいなかった
あの土地に封印した 私はそれを迎えに来たのよ」
利「え その人… お殿様はまだ生きてるの?」
母「死ねないのよ」
沈黙のあと口を開く爺
「…… 守美子 まさかそれが… お前のお役目なのか…?」
母「そうよ」
青ざめる爺
母「私 お殿様を連れて 明日の朝発つわ」
父「明日の朝!?」
母「それと… 良守も連れて行くから」
父「良守も!? えぇ!? 良守は学校だってあるんだよ!?」
母「だって仕方ないのよ
良守は一番の共鳴者だし お殿様と二人で一セットなのよね」
真顔になる父
「そういうぞんざいな言い方はやめろ
君は… 子供達の気持ちを考えたことがあるのか…?」
母「修史さん」
父「甘えたい盛りに放り出して さびしい思いさせておいて
また君の都合で振り回すのか!?」
爺「待っ 修史さん!!」
「いいんだよ 父さん」良守がはじめて口を開く
「俺 母さんと行く 俺じゃないとダメみたいだし」
「よくない!!」母に向かい叫ぶ父「君は いつも勝手だ!!」
怒りのまま部屋を出る父 あとを追う母
立つ良守を制する爺「お前は行かんでいい 良守… 本当にいいのか…?」
口を開く良守「…… 烏森は… あの土地は もうもたない
だから 俺の準備が出来次第 連れてくつもりだったんだって
それで 次の土地で今度こそ完全封印するって
だったら俺は 行かなくちゃいけない」
夜 装束に身を固めて家を出る時音(犬もいる)
隣を見ると良守も出てくる
『良守… 蒼士君いなくなって まだ落ち込んでるよね…』
良守に声をかけようとする時音だが
良守の後ろから 装束を身に纏った良守母が出てくるのに驚く
「守美子… さん!?」
時音を見る母は通り過ぎ様に振り向きもせず声をかける
「時音ちゃん これからお殿様迎えに行くわよ 手伝ってね」
「へ!?」
驚き 良守の方に向き直る時音 良守の真顔を見る
「どういう… ことなの 良守…?」
「今夜が…」
学校の前に立つ三人
『烏森の地 最後の夜になる───』
次号に続く
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簡易摘要:
莫名奇妙的母守回來了 莫名奇妙要良守秀一下無想
晚餐桌上又莫名奇妙宣告說任務是來迎接烏森底封印的大人然後在別處封印
因為會用到共鳴者所以要順便把良守一起帶走
所以爸守在母守後面他非常火 對這樣這樣莫名奇妙的母守大怒斥責
良守說雖然莫名奇妙但是沒差反正我的第一志願就是完全封印烏森咩咖瑪
當夜時音和良守例行巡邏時母守真的出現要迎接烏森的大人
還莫名奇妙要時音一起來幫忙
真是莫名奇妙
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※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc)
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